映画三昧日記帖

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さるさる日記

2010/03/14 (日) 春への支度

暖かい。いきなり春になった。
ベランダのハーブは順次植え替え中。
ナスタチウムはバッサリ切り戻して、サラダにしたり蕎麦の薬味にしたり。(ナスタがおろし蕎麦にあんなに合うと思わなかった!)
蕾の出てきたキンセンカも脇芽を間引く。間引いた若葉は湯がいて食す。ほろ苦くて食欲増進。これからは週に一回キンセンカだ。
パセリも食って、ワイルドストロベリーも間引いて乾してハーブティーに。

娘も受験から帰ってきた。明日からは娘の春支度だ。大学でも就職活動でもスーツは必要。運動靴じゃない“まともな靴”も持ってない。
ぼさぼさ頭を何とかしてやったり、机周りの大掃除など、雑用に追われる日が続きそうだ。

2010/03/11 (木) 『兼高かおる世界の旅 カラー版』

娘は受験で大阪へ。
こっちは日本年金機構とバトル。
三回引っ越したから証拠の家計簿も通帳も残ってない。旗色悪し。

○『兼高かおる世界の旅 カラー版』(1971)−−企画主演解説:兼高かおる。聞き手:芥川隆行。TBSテレビ。
懐かしい!40年ぶりに見た。でもカラーで見たのは初めて。
ジャーナリストの兼高かおるが世界各地を飛び歩いては紹介する1959年末から1990年まで(そんなに!)続いた伝説的紀行番組。

人気がピークだったのは各家庭でテレビが普及した1964年のオリンピック以降で、まだ日々の暮らしに精一杯だった庶民に「世界」を見せてくれた。
兼高本人が企画し取材し出演し、ナレーターも務めている。「わたくし〜〜でしたのよ」と芥川に語る知的で上品な口調がまた好感度高くした。
毎週日曜の朝に放映していて、うちの母がこの番組が好きでねえ――、
「アフリカでも南極でもどこでも行けて偉いねえ、偉いねえ〜」
と、見る度に兼高かおるを褒めていた。
――今回TBSチャンネルで放映されたのは、まさにその南極編!

いまどきのタレントのように、「わー、ペンギンだ−、可愛い〜〜」とか「わー、すごーい、壁が氷だ〜!」とかそんな類のナレーションは一切つかない。まるで教育番組のように南極探検の歴史を、それでいて南極基地に生きる人たちの生活を細やかに的確に解説してくれる。
40年も昔の映像だが、それがまったく古くない。むしろ年月経つにつれ資料価値大になっていく。
ラストは南極点に立つ兼高。日本女性で初めてだ。
まだ海外への自由渡航が出来なかった時代、まだ女性が良妻賢母を強いられた時代、そんな時代に自立した女性として海外の暮らしを日本に、日本を海外に紹介した兼高かおるの功績は大きい。

久々に見なおして感心した。
金と地位と能力のある女性は志を高く持つべきだ。私のような庶民のために。

2010/03/10 (水) 『異国物語 ヒマラヤの魔王』

娘は後期受験の旅支度。話題は帰りの京都旅行のことばかり(^^;

○『異国物語 ヒマラヤの魔王』(1956/河野寿一)−− 脚本:結束信。原作:大林清。撮影:坪井誠。
「双竜篇」「日月篇」と45分ほどのものが三回続く、東映の御子様時代劇。
いったい何故こんなタイトルが付いたのか?東映のことだからタイトルが先に出来ていたのか?
実はヒマラヤでも魔王でも何でもない日本の戦国時代の話だから詐欺みたいなもんだ。
物語は――、いや、説明するのも面倒臭い。はっきり言って設定説明だけに費やされる冒頭20分はムダ!これはストーリー以外を楽しむべき作品。

例えば・・・
雑兵たちが旗指物を高く掲げて族長らの馬を全力疾走で追いかけていくシーン。(河野監督がどんなに怒鳴って旗が綺麗にたなびくまで大部屋達を走らせたであろうとかww)
騎馬戦や砦の攻防戦。若き東千代之介と中村錦之助の一騎打ち。あるいは東映城のお姫様、田代百合子、浦里はるみ、喜多川千鶴らの美しい所作と舞。その衣装のコーディネイト。綺麗なだけじゃなく踊れなきゃいけないんだから、二枚目だけでなく剣技が出来なきゃいけないんだから。――それらを見ているだけで当時の少年達は充分ドキドキしただろう。
そんな時代の御子様映画だ。

2010/03/09 (火) 『スラバヤ殿下』

本気で真冬!都心でも雪が積もってる。
後期受験に新幹線が動くか心配になってきた。

○『スラバヤ殿下』(1955/佐藤武)−−脚本:柳沢類寿。原作:菊田一夫。
ラジオドラマか何かが原作かしら?所謂ナンセンスコメディ。
若い森繁久彌がノーベル物理学者と詐欺師の二役を演じる。“スラバヤ殿下”などという南洋の土人に扮して踊りまくるのがクライマックス。ラストは兄弟愛で終わる人情もの。
のんびりほのぼのしたテンポで、この時代はこういうテンポでも笑えたんだなあ。笑えはしないがダンスも演技も森繁はさすがに上手く、繰り返し見たくなるほど印象に残る。
一部マニア人気のカルト作品。

しかしこの「詐欺師=本当はいい人」って公式はどの時代から出来たんでしょうねえ? 一時の夢は与えるが結局は貧しい庶民を騙して金を巻き上げる詐欺師など、私は到底「いい人」とは思えない。
たまたまBSで『タワーリング・インフェルノ』(1974)を見てたら、やはり詐欺師が「いい人」に描かれている。――こちらは金持ち専門の詐欺師のようだからまだ許せるが。
「詐欺師=本当はいい人」の大ヒット作がサイレント時代にあったのかもしれない。

2010/03/08 (月) 『しとやかな獣』

真冬並みの寒さ。
今年も去年も絶対安全圏を受けているのに何故落ちる?A判定なのにまたしても。
・理由その1――答案用紙に名前を書き忘れた。
・その2――本番に弱い。
・その3――不況で国立の受験生が増えた。
予備校は3だと言うが、私は1だと思うぞ。
今週末が後期。春よハヨ来い。

○『しとやかな獣』(1962/川島雄三)−−原作脚本:新藤兼人。撮影:宗川信夫。
芸能プロダクションや作家から表沙汰に出来ない金を巻き上げては悠々自適に暮らす一家が主人公。
彼らが暮らす公団住宅の一室が舞台で、カメラは公団住宅の外には出て行かない。ベランダ側あるいは廊下の階段側から撮される。
オープニングから能楽のパーカッションがBGMに使用され、これが象徴性の高い物語だと教えてくれる。まさに能舞台のように、この一部屋に次々と誰かがやって来ては事情を語って去っていく。最初から終いまでそれの繰り返しだ。
それでいて難解ではなく、テンポの良いホームコメディのように最後まで引きつけられ面白く見ていける。

ちょうど当時は高度成長期で、「お金が全て!」と誰はばかることなく言い切っても構わない風潮が出てきたころだ。いまどきと違う点は、家族の結束があることか。それだけが今見ると救いのように感じられる。――そう言う話ではないんだが。

山岡久乃の母親が下品にならずとても良い。若尾文子はまたまた誰とでも寝て金を巻き上げる図太い女で登場する。
『女は二度生まれる』と『雁の寺』とこの『しとやかな獣』で川島雄三の「若尾文子三部作」とか呼ばれている。
川島監督、すごい才能だよホント。

2010/03/07 (日) 『雁の寺』

「映画三昧日記帖」お陰様で10万ヒット越えました。
1999年から始めて途中二回ほどトラブルでチャラにしたんですが。
個人サイトやブログやソーシャルネットワークなどなど覗くもの多すぎる今日この頃、――にもかかわらず10万ヒットとは!
常連の方々、ありがとうございます。

無意味な日記かと思いつつも書き続けていきます。今後とも宜しく!

○『雁の寺』(1962/川島雄三)−−脚本:舟橋和郎、川島雄三。原作:水上勉。撮影:村井博。
またしても情婦役の若尾文子。しかしぜんぜんアップにならない。顔よりむしろ脹ら脛ばっかり映ったような・・・(^^;
重いドラマになると若尾の一本調子な演技のせいで内面よりもむちむち感だけが印象に残る。
母親への恋慕とか差別問題とかもっと深い物語なのかもしれないが、住職と修行僧の間で情婦を奪い合う話に終わってしまっている。ラストの雁の親子の意味も中途半端だ。

それでも最初からテンポ良く退屈することなく、ミステリーの興味で最後まで引きつけられた。
原作はどうだろう?読みたくなってきた。

2010/03/04 (木) 『女は二度生まれる』

ひどい天気で身体中ガッタガタ。

○『女は二度生れる』(1961/川島雄三)−−脚本:井手俊郎、川島雄三。原作:「小えん日記」富田常雄。撮影:村井博。
とても面白い。感心しながら興味深く最後まで飽きることなく見た。
最初から最後まで一分と途切れることなく若尾文子が出ずっぱりの「若尾文子見せ映画」。
しかも次から次へと男と床を共にする枕芸者で濡れ場(脱がないけど)の連続。当時では性的にきわどいセリフも飛び出して、泣いたり笑ったり、次々と衣装を変えて小唄の喉も披露する若尾文子は元気で可愛い。ストーリーは単純だし、娯楽映画としてのノルマは全て果たしている。
――が、ヒロイン「小えん」の心境の変化は単純ではない。

パトロンが亡くなってのち、再び男から男への生活を繰り返す自分に疑問を感じるエピソード。学生時代から心の中に留めていた青年が自分のことを枕芸者としか見ていなかったと知る失望感。彼女は神様のように崇めていたパトロンの墓に別れを告げる。
その心理が解説されるわけでなく、彼女がセリフで自己申告するわけでもない。
が、私は心から彼女の心境の変化に共感した。これは女性が自分を見つめ直そうとする自立映画だ。
特にラスト――、
「まさかここで終わるんじゃないだろうな?」と一抹の不安を抱えながら見ていたら、見事にあっさり終わってしまった。
まるで死期を知っている人間のように、生まれた古里にもう一度帰ろうとするヒロイン。停車場で電車をじっと待っている。まるで生まれ変わる時を待っているように。それは余命わずかの川島監督そのものか?
自分の本当に生きていられる時間を考えたとき、人間は原点に帰るものなのだと。それが「二度生まれる」ことなのだと――。

こういう作品を見ると、映像話術というものは学校なんかで人に教えられるものではないとつくづく思う。
うまい。

2010/03/03 (水) 『喰いしん坊 大食い開眼編』

暖かくなったり寒くなったりで、もーう身体がついていかん。
晴れ間にレモンバームを植え替える。明日はまた雨だ。

とりあえず世間は雛祭り。
受験が終わるまで参考書と問題集に埋まっていてお雛様など出すスペースはない。
縁起物の自家製桃酒を娘に10ccほど舐めさせた。

○『喰いしん坊 大食い開眼編』(2007/松生秀二)−−原作:土山しげる(「喰いしん坊!」日本文芸社刊)脚本:白土勉。
“大喰い”を神事とする集団と、金儲けの興業と考える集団との戦い。そこに飛び込んでいく素人青年の奮闘記。
大喰いのコツなど指導するハウツー物になっていて物珍しさで最後まで見ていける。
ちょっと続きが楽しみ。

が、いかんせん撮影が良くない。
まず食べ物が美味しそうじゃないし、食べるシーンもテレビの大喰い番組のほうが迫力ある。ゲストにジャイアント白田とギャル曽根が登場するが見せ場もない。映像の面白さはまったく無い演出だ。
素材は安いラーメンやおにぎりなんだし、単純な話なんだから凝る箇所が一つ欲しかった。

2010/03/02 (火) 『細雪』

寒い日。夫は従兄弟のお通夜へ。
従兄弟は夫より若いのに悪性脳腫瘍で亡くなった。子供の時から弁舌立って40代で東大教授になったのに。学問の道はまだまだこれからだったろうに。
お子さんもまだ高校生で、本当に気の毒だ。人の運命は分からない。

でも専門はハイデッカー。夫と同じく社会にとって全然役に立ってない。
通夜に来た従姉妹と、「どうしてうちの家系はまっとうな職業に就かないのかねえ?」と話したそうな。
うちの夫も亡くなるときはそう言われるかな。ご冥福をお祈りします。

○『細雪』(1950/阿部豊)−−脚本:八住利雄。原作:谷崎潤一郎。撮影:山中進。
戦後没落して残ったのは格式だけという旧家の姉妹が、見合いを重ねては行き遅れたり男関係をあれこれする話。
これを御耽美に描くと貧乏人にはメチャクチャ腹の立つ話で、これこそ社会の役に立ってない人間の典型だ。

が、帯の衣擦れが演奏会に邪魔だろうと耳を澄ますユーモラスなシーンから始まり、演出やエピソードが意外と庶民感覚。贅沢なお嬢様な感じがまるでしないぶん共感を持って退屈せずに最後まで見ていけた。
逆に庶民的なだけに視覚的に楽しめる部分は少ない。ラストも140分も見せておきながら視覚的に盛り上がらず勿体なかった。

四姉妹は花井蘭子、轟夕起子、山根寿子、高峰秀子。ぼんぼん役の田中春男が印象に残る。
『細雪』は1959年と1983年に再映画化されている。その映画化の最初の一本目がこれだ。

2010/02/27 (土) 『京都殺人案内32』

お国の教育ローンで200万円借りようと思ったら、42万3千円も利子が付いた。15年返済の場合。
100万円借りて5年返しの場合でも6万円以上利子が付く。年に2.6%のこんな阿漕な商売、ホンマに国の教育ローンか!?こんなん許されるんやったら私が金貸しになりたいわ!

結局虎の子の貯金を崩すことにした。(受かったらね)
お国には金のばらまき政策より給付奨学金の充実をお願いしたい。

○『京都殺人案内(32) 京友禅に染めこむ殺意の虹!密会!貴船隠れ宿 鞍馬火祭りの夜に燃えた最後の恋』(2010/岡屋龍一)−−脚本:田上雄。2009/10収録の藤田まこと最後の出演作品。ABC。単発「土曜ワイド劇場」
藤田まことの追悼として放映。最後まで楽しめた。
遠藤多津朗をはじめとする熟年役者の方々が登場して物語をセリフで引っ張ってる。こういう人たちが亡くなってしまったらドラマはどうなるんだろ?
ゲームもパソコンもやらない熟年者が一番テレビをぼんやり眺めたりするのだから、テレビドラマ制作側は熟年役者をもっと発掘して大事に使ったほうが良いと思うよ。

京都のオールロケで懐かしかった。京都はテレビで見るのが一番良い。
ちなみに演出の岡屋龍一は宣弘社最後の生き残りで現役。

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